『孔子の里』トレイルランinたく 佐賀県にめっちゃ尊い大会あるの知ってる?

『孔子の里』トレイルランinたく 佐賀県で毎年11月末の日曜に行われるトレイルラン大会。

この大会を一言で表すなら、「多久市という町を好きになる一日」

距離も累積標高も特別ではない。絶景だけなら、九州には他にもたくさんある。それでも「九州で一番尊い大会かもしれない」と思った理由は、多久市全体でランナーを迎えてくれる空気。

駐車場の誘導からエイド、ゴール後の豚汁、無料温泉まで。大会を終えて残ったのは完走の達成感より、「また多久に来たい」という気持ちだった。今回はそんな”尊い大会”を紹介したい。

まず、「聖廟(せいびょう)ってなんやねん。」と思った人も多いはず。自分も最初は読み方からわからなかった。聖廟とは儒学(儒教)の始祖である孔子や、高い徳を持った聖人、あるいは天皇や先祖の霊などを祀るために建てられたお堂・建物のことで、まあとにかく泣く子も黙る「孔子」さまが祀られてるめっちゃ尊い場所がスタート・フィニッシュ地点になってる大会ってこと。

私たまきちは、そんな尊き大会の2025年第9回大会のロング25kmに出走しまして、それはそれは感銘を受け、この記事を書くに至ったというわけです。

多久聖廟、の入口あたりの石。

大会概要

開催地:多久聖廟(佐賀県多久市)
開催日程:11月末の日曜(2026年は11/29)
距離:ロング25km|ショート17km
累積標高:ロング1,390m|ショート937m
制限時間:ロング6時間|ショート4時間30分
参加費:ロング・ショート共通 5,250円(税込)・・・安っ!!

大会サイト
エントリー(募集期間:2026/7/13月~10/12月)

コース紹介

走路:多久聖廟~鬼の鼻山~聖岳~鬼の鼻山公園~多久聖廟

第9回 2025年大会のコースMAP

エイドAまでの前半部、エイドAからエイドBを含む後半部(山の上)をショートは1周、ロングは2周して下ってくるというのが全体像。

前半部はロード、林道メイン。トレイル(短破線)は少なめもエイドA手前に超絶なトレイル急登(鎖場)がはじめの難所。

後半部はエイドBまで遊歩道(破線)となっておりいわゆるトレイル。山頂まではじわじわ登りがあり結構削られる。

山頂までの途中、本レースのシンボルのひとつとなっている鬼の鼻山という遊具(展望台)がある。

なぜ鬼なのかは未だに調べていなくてわからないがシンボリックな遊具(展望所)

この鬼の鼻山を越えて少し先の山頂からエイドB(ほぼウォーターエイド)までは下り基調で気持ちがよい。

エイドBを過ぎるとつづら折りの短いトレイルを降りロードに出るが、ここから右手に見える景色が圧巻。

元はこの手前部分にも木々が生い茂っていたそうだが、これを切り拓いたんだとか。
植生に詳しくないが、奥の森の雄大さに目を奪われ疲れが吹き飛んだのを覚えている。

右手一面に広がる森林。スケールがすごい。

そのまま林道を通り池の横を通り少し走ると、本コース一番の難所といってもよいだろう。「聖岳までの792段の木段」が現れる。

数えたくもない段数。ロングはここを2回登るためかなり応える。

この木段、段差もまばら、つづら折りで終わりが見えない。心を無にして登るしかないのだけど、当時の自分は臀部を使った登りを意識できていなかったため大いにふくらはぎを消耗させ、これが後半に響いた。

ともあれ登り終え頂上からの景色はこれまた絶景。

階段を登り終え展望所からの眺め。佐賀ののどかな景色を一望。

さあ、聖岳頂上からエイドAまではトレイルの大会であることを忘れてしまうくらい林道が続く。下り基調と思いきや、普通に登りもある。ほぼ峠走。

ロングの方は1周目のフレッシュな身体で調子に乗ってこの区間を飛ばすと後で痛い目を見るので注意が必要。(自分は2周目で脚が終わり脚の全部の筋肉を攣った)

長い林道を終えると再度エイドAに着き、ショートの方はそのまま前半部を引き返し、ロングはもう1周。全体にトレイル率はそこまで高くなく、いわゆる「走れるトレラン大会」の位置づけだと思っていただければ良いと思う。

この大会の魅力

ここまで書いてきて、自分の文才の無さが故かこの大会の魅力を十分に伝えきれていない気がしているのだけど、もう少しお付き合いいただきたい。

コースは正直、林道も多いし、792段の木段はめまいがするしで、めっちゃ気持ちいいトレイルコースといった感じではないが、この大会の魅力はコース以外にこそある。と思う。

参加費の安さが物語っているが、運営が市の公共施設の運営などを行っている「一般財団法人 多久市体育協会」で、営利目的ではなく純粋に多久市を盛り上げたい。という想いを強く感じる。
※ちょっと前までは観光協会が主催だった気がするが、細かいことは気にしない。

また当日は、駐車場の誘導から受付、大会本部、エイドに至るまで、地元の皆さんそれぞれの持場で選手を迎えてくれる。SNSなどでボランティアスタッフを募る様子も全く無いのにこのもてなしようなのだから驚かされる。

なだけに、町内のお祭りのような手作り感、アットホーム感で溢れておりどこか心地よい。
当時の自分のようなトレラン素人でも気負うことなく参加できる。そういう敷居の低さも魅力の一つだろうと思う。

終始大会を盛り上げた鬼レンジャー(この姿でショートコースを疾走)

更に参加費の安さに対して参加賞やふるまいが他の大会に匹敵するレベルなのも驚きだ。

  • ふるまい:おにぎり2個に豚汁(非公式だけどおかわりは自由)
  • 参加賞1:会場または市内で使える500円券
  • 参加賞2:近隣の温浴施設「TAQUA」入場権(ゼッケンを見せると無料で入れる)
味が選べるおにぎり2個と、柚子胡椒や一味などで味付けもできる豚汁。おかわり自由なのも太っ腹だ。
多久市が誇る大型箱物施設。露天風呂・エリアからの眺めも最高だ。

最後に。

ただでさえ参加費が安く(5,000円)参加賞やら振る舞いを考えると赤字なんじゃないかと心配になるくらいのこの大会が、次なる2026年は記念すべき第10回大会ということで、振る舞いでバーベキューを予定しているとのこと。

採算だけを考えれば、もっと効率的な大会運営はいくらでもあるはずだ。それでもこの大会から感じるのは「多久市にまた来てもらいたい」という想い。だからこそ、この大会には長く続いてほしいと思う。

「尊い」

最近は何にでも使われる言葉だけど、この大会ほどこの言葉が似合う大会はない。
地域の人が迎え、地域の山を走り、地域で食べ、地域の温泉で汗を流す。

孔子の里トレイルは、レースというより「多久市という町を好きになる一日」

転勤族のわたしも、九州にいる限りは毎年この”尊い大会”に帰ってくるつもりだ。

九州で人気のカントリーレースと日程が重なることが多いのが残念なところですが、是非カントリーレースファンの皆様にも一度は楽しんでいただきたい大会。

ゴール周辺の原っぱに座り込み、時折フィニッシュするランナーに声をかけたりしながらふるまいを食す。

玉田航希のアバター

@adamat1984