島とランニング。
1

上五島トレイルを始めた理由

はじめまして。長崎県・新上五島町で「上五島トレイル」を運営している松岡です。

石川さんからお声掛けいただき、これまで何度も上五島トレイルを紹介していただきました。さらには実際に大会にも来ていただき、「これは絶対引き受けないと」と思い、今回の記事を引き受けました。

需要があるかは分かりませんが、トレイルランニングとの出会いや上五島トレイルのこと、そして上五島という島のことを、少しずつ書いていけたらと思っています。

まずは、なぜ上五島トレイルを始めたのか。

私は生まれてから47年間、上五島で暮らしてきました。3年間だけ大分へ転勤し、今年また島へ戻ってきました。

初めての土地での生活は、自分の価値観を大きく変える時間でした。外から上五島を見ることで、「この島には当たり前だと思っていた景色や暮らしが、実は特別なんだ」と気づかされたんです。

その変化には、ほとんどトレイルランニングが関わっていました。

ランニングを始めたのは2015年。厄年を前にしたことと、母親の大病をきっかけに「このままでいいのか」と思ったのが始まりでした。最初は五島夕焼けマラソンのハーフマラソン。暑くてきつかった記憶しかありませんが、走る楽しさを知りました。

その後、テレビでトレイルランニングを知り、義弟もやっていると聞いて、近くの山へ行ってみました。

山を走った瞬間、「こんなに楽しいのか」と衝撃を受けました。今思えば、走るというより藪をかき分けながら山に遊びに行っていただけですが(笑)、あの感覚が今につながっています。

2019年には、長崎県大村市の「多良の森トレイルランニング」に初出場。そこで上五島出身の川崎雄哉さんと初めて会いました。レースの順位よりも、「また山を走りたい」という気持ちだけが強く残ったのを覚えています。

そして2021年10月頃。後に上五島トレイル副会長となる南さん(虎屋社長・慎太郎)と、毎週のように飲みながら話していました。

「上五島はイベントをやっても続かない」

「どうしたら島が盛り上がるだろう」

「自分たちも楽しめることをやりたい」

そんな話ばかりしていたんです。

その流れで、私が始めたばかりのトレイルランニングの話になり、勢いでこう言ってしまいました。

「川崎雄哉を呼んでトレランをやれば、島外から人が来るよ」

するとその数日後、慎太郎のとこへ新上五島アイランドワーケーション(SIW)の松本さんが来られ、町のイベントの相談をして来ました。

慎太郎は「釣り大会よりトレランの方が面白い。人も来る」と、まるで自分がトレランをやってるかのように話を進めてしまったんです。本人はトレランをほとんど知らないのに(笑)。

そこからのスピードがすごかった。

すぐに、私のところへ電話がきて、「トレランやることになった。今年やる」と言われました。

「いや、無理やろ(笑)」

本気でそう思いました。川崎さんが来てくれるとも思っていなかったし、自分もただ走っているだけで、大会運営なんて何も知らなかったんです。

ところが松本さんがすぐに川崎さん本人へ連絡し、川崎さんも即決。

気づけば、本当にトレイルイベントをやることになっていました。

当時、トレランを知っているのは実質私だけ。それでも慎太郎の行動力はすさまじく、義弟の竜之介も加わって、コース整備やロープ張りを始めました。さらに地域の皆さんも手伝ってくださり、少しずつコースが形になっていきました。

最初は「山王山トレイルイベント」として、トレラン10kmとウォーク5kmを企画。悪天候の影響もあり、実際に開催できたのは2022年3月でした。

参加者は17名。

決して大きなイベントではありませんでしたが、前夜祭も後夜祭も行い、島らしい温かい時間を過ごすことができました。

そして打ち上げの席で、みんなが勢いづいて言いました。

「これは大会にしよう」

「会長は松岡しかおらん」

私は人前で話すのも苦手で、イベント運営の経験もありません。

「本当に自分で大丈夫なのか?」

そう思いながらも、「みんなで支えるから」と背中を押され、実行委員長を引き受けました。

最後の挨拶では勢いよく「やるぞ!」と言ったものの、翌日には不安の方が大きかったですね。今でも大会が近づくと、頭の中は上五島トレイルのことでいっぱいになります。

調子に乗って実行委員長になった時。この時は川崎雄哉の凄さを知らず、肩まで組んでる(笑)

でも振り返ると、上五島トレイルは私一人が始めた大会ではありません。

飲み会での何気ない会話から始まり、仲間が動き、地域の人が手を貸してくれ、気づけば形になっていた大会です。

だからこそ、今も続けられているのだと思います。

プロトレイルランナーの松永紘明さんが、「トレイルランニングを広めたいのではなく、より自分らしい人生を歩む人が増えるきっかけをつくりたい」と話されていました。

この言葉は、今でも自分の中に残っています。

上五島トレイルも、大会を大きくしたいから続けているわけではありません。

この島で、一人でも多くの人が自然と出会い、人と出会い、自分らしい時間を見つけてもらえたら。
そして、上五島に少しでも貢献できれば。

そんな思いで、これからも続けていこうと思います。

それでは、また次回ですね。


松岡晃のアバター

@matsuokahikaru