日曜日の正午、全員がそこにいる
日曜日の正午。福岡市の南公園に、ランナーたちが集まってくる。
走り終えた者もいる。まだ走っている者もいる。途中で走れなくなり、車で仮眠をとってから戻ってきた者もいる。前日の夕方から、それぞれ違う時間に走り始めた彼らが、この12時だけは全員で共有する。
100kmを走り切った人も、届かなかった人も、同じ時刻に同じ場所にいて、一緒に乾杯する。
これがSOUTHPARK100の終わり方であり、このイベントの本質でもある。
SOUTHPARK100は大会ではない。7trailsではこれを「合同自主練」と呼んでいる。エントリーページに並ぶような公式記録も、エイドステーションも、表彰もない。あるのは「日曜日の12時に終わる」という約束と、100kmという距離だけだ。
なぜこの形式なのか。なぜ真夏なのか。なぜ、走れなくなっても12時まで残るのか。
3回目の開催を前に、このイベントがどこから来て、何を大切にしてきたのかを記録しておきたい。

代々木公園から、大濠公園へ
SOUTHPARK100のルーツは、東京・代々木公園で行われていた「YOYOGIPARK100」にある。
当時、福岡へ転勤してきていた知人ランナーが東京のランニングチームに所属しており、その仲間たちがYOYOGIPARK100を行っていた。その縁から「福岡でも同じコンセプトの姉妹イベントをやってみませんか」と声をかけてもらった。
そこで始めたのが「OHORIPARK100」である。2019年3月に第1回、2022年8月に第2回を開催した。
最初から7trails独自の100kmイベントを作ろうとしたわけではない。YOYOGIPARK100という面白いフォーマットがあり、それを福岡でもやってみよう。始まりはそれだけだった。
では、その「面白いフォーマット」とは何だったのか。

スタート時間ではなく、終了時間を決める
YOYOGIPARK100の特徴は、単純に「100kmを走る」ことではない。最大の特徴は、スタート時間ではなく終了時間を決めるという考え方にある。
たとえば日曜日の12時を終了時間とする。参加者は全員が同時にスタートするのではない。それぞれが自分の走力と目標を考え、「自分なら100kmを何時間で走るのか」を見積もり、そこから逆算して自分でスタート時間を決める。
10時間で走りたければ、10時間前に走り始める。15時間必要だと思えば、15時間前から始める。
つまり、ここで問われているのは「100kmを完走できるか」ではない。

自分は100kmをどう走るのか。
それを自分で考え、自分の現在の力に向き合い、決められた終了時間に向かってベストを尽くす。この考え方が、SOUTHPARK100の原型になっている。
本家のYOYOGIPARK100には、人から補給を受けない、歩いたら失格といった、自分の力だけで100kmを走ることを強く求める厳格なルールがあった。OHORIPARK100ではそこまでのルールは採用しなかったが、「日曜日の12時に終わる」という考え方は残した。
途中で休んでいい。苦しくなれば立ち止まっていい。ただし、だらだらと時間を延ばしたり、家に帰って寝て、距離だけを100kmに積み上げたりするのではない。決められた終了時間に向かって、自分なりのベストを尽くす。ここが重要だった。
なぜ南公園へ移ったのか
OHORIPARK100を2回経験して、見えてきたことがある。
7trailsの仲間にはトレイルランナーが多い。平坦な大濠公園を何十周もして100kmを走ることは、肉体的にも精神的にも、想像以上に厳しかった。
石川自身、OHORIPARK100では100kmを完走できていない。20人程度が参加しても、走り切れるのは一人か二人ということもあった。ロードを長時間走り続けることで脚に強い痛みが出る。そして、平坦な同じ景色の中を延々と走ることには、精神的な難しさもあった。
そこで考えたのが、普段7trailsのグループランで走っている南公園だった。

南公園は自然公園に近く、非常に起伏が多い。舗装路だけでなく、土の道や小さなトレイルもある。累積標高を考えれば、大濠公園よりもむしろ厳しい。
それでも、自分たちにはこちらの方が合っていると感じた。
長い時間を過ごすのなら、自分たちが好きなフィールドで走りたい。
こうしてOHORIPARK100の考え方を受け継ぎながら、南公園を舞台とする「SOUTHPARK100」が2024年9月に始まった。以来、毎年9月の第1日曜日の12時を終了時刻として開催している。なお、OHORIPARK100を終了したわけではない。
ロゴはYOYOGIPARK100と同じデザイナーによるもので、同じタイポグラフィを使っている。OHORIPARK100のロゴも同様だ。名称やロゴを含め、代々木から生まれた姉妹イベントとしての系譜を、かたちとして残している。

では、この合同自主練は実際にどんなルールで行われているのか。そして、なぜ走れなくなっても12時までその場に残るのか。
次回は、SOUTHPARK100の現場で起きていることを書く。
(第2回に続く)



