大会ではなく、合同自主練
第1回では、SOUTHPARK100がYOYOGIPARK100、OHORIPARK100の系譜から生まれたこと、そして「終了時間から逆算して、自分でスタート時間を決める」という思想を受け継いでいることを書いた。
今回は、その思想が現場でどう機能しているのかを書きたい。
通常のSOUTHPARK100の基本ルールは、次のとおりである。
- 100kmを走り切るつもりの人だけが参加する
- 原則として、7trailsのグループランに参加経験がある人だけを招待する
- 日曜日の12時を終了時間とする
- 1秒でも12時を過ぎれば、100km完走とはしない
- 南公園内に基本コースは設定しているが、どこを走っても構わない
- 補給や装備はすべて自己完結。主催側からのサポートは一切ない
- 途中で休憩しても構わない。一時的に離脱しても構わない
- 100kmを早く走り終えても構わない。途中で諦めても構わない
- ただし、最後の日曜日12時には必ず現地にいる
主催者がサービスを提供する大会ではない。同じ場所、同じ時間に集まって、それぞれが自己完結で練習する。だから「合同自主練」なのである。

なぜ、走れなくなっても12時まで残るのか
このルールの中で、とりわけ大切にしているものがある。最後の一行だ。
途中で100kmを諦めても、日曜日の12時には必ず戻ってくること。車で休んでもいい。一度家に帰っても構わない。それでも、12時にはその場所にいる。
これは、一緒に走った仲間への敬意である。
自分が苦しいとき、同じ場所で走っている誰かの姿を見て頑張れたはずだ。すれ違うときに「ナイスラン」「頑張って」「いま何周?」と声を掛けてもらったこともあるはずだ。自分が走れなくなったからといってそのまま帰るのではなく、最後まで走っている仲間を迎える。
そして12時になったら、完走した人も、できなかった人も、一緒に乾杯する。
100kmを走れた人だけがSOUTHPARK100の参加者なのではない。同じ終了時間を共有するところまで含めて、この合同自主練なのである。
2kmの周回が生むもの
SOUTHPARK100の基本コースは1周約2km。1周あたりの累積標高は約75mある。この非常に短い周回を、何十回も繰り返す。
一見すると単調なコースだが、この短さがSOUTHPARK100独特の空気を生んでいる。
南公園では、コース上で参加者同士が頻繁にすれ違う。大濠公園のような大きな周回では、同じ方向に走っている限り、なかなか仲間と顔を合わせない。南公園は違う。何度も、何度も、仲間とすれ違う。
「ナイスラン」 「頑張って」 「何周目?」
そんな声を掛け合ううちに、元気だった人の顔が疲れていくのがわかる。苦しそうだった人が、数時間後には復活していることもある。それを何度も目の前で見る。
一人で100kmを走っているのではない。それぞれが自分の100kmを走りながら、同じ時間をみんなで過ごしている。
これが、南公園に移ってから強く感じるようになったSOUTHPARK100の魅力である。

なぜ真夏に走るのか
SOUTHPARK100は毎年、9月初旬の暑い時期に開催している。これは偶然ではない。
楽に100kmを走るためのイベントではなく、ロングレースに向けた実践的な練習として行っているからだ。
土曜日の夕方から走り始め、夜を越え、翌日の昼まで走る。スタート直後から大量の汗をかく。夜になっても暑い。長時間走り続ければ、さまざまな問題が起きる。
脱水。熱による体調不良。食欲低下。補給ができなくなる。下痢などの胃腸トラブル。汗による擦れ。足や足首の痛み。疲労によるペース低下。眠気。精神的な落ち込み。
短い練習では現れない問題が、長い時間を走ることで表面化する。SOUTHPARK100では、それを経験すること自体に意味があると考えている。

本番で初めて失敗するのではなく、練習で失敗する。
食べられると思っていた補給食が、80km地点では食べられなかった。このウェアなら大丈夫だと思っていたのに、汗で擦れた。このペースなら最後までいけると思ったのに、50kmで崩れた。
そういうことは、実際に長い時間を動いてみなければわからない。だから、むしろトラブルが起きた方がいい。
SOUTHPARK100は「100kmを走れたか」を確認する場所であると同時に、「100kmを走ったとき、自分に何が起きるのか」を知る場所でもある。
そして100kmという長い時間の中で見えてくるのは、トラブルだけではない。普段の走力とは違う、もうひとつの「強さ」の姿である。

次回は、SOUTHPARK100を「実験の場」として使うということ、そして2026年から加わる新しい試みについて書く。
(第3回に続く)



