島とランニング。
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人に喜んでもらうってこんなに楽しいんだ

― 上五島トレイル、第1回大会 ―

前回は、上五島トレイルが始まるまでの話を書きました。

飲みながら「上五島を盛り上げたい」と話していたところから、勢いで「トレランをやろう」となり、気づけば大会を開催することになった。

今思えば、本当に勢いだけだったと思います(笑)。

今回は、その続きを。

いよいよ第1回大会です。

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「もっとトレイルを増やしたい」

最初のトレイルイベントは、上五島の最高峰・山王山を中心にしたものでした。

でも、せっかく島外から上五島まで来てもらうなら、もっと山を走ってもらいたい。

イベントのコースには、まだまだトレイルが少ない。

「自分が実際に走って見つけたトレイルをつなげれば、もっと面白いコースになるはず」

そう思って、自分で山の中を走り回ってコースを探しました。

まあ、これが大変でした。

何度迷ったことか……。

一度は穴に落ちたこともあります(笑)。

川崎さんにも確認してもらったのですが、

「これはアドベンチャートレイルですね」

と言われるほどの状態(笑)。

今ではエイドになっている城山も、当時は木々に覆われていて、景色なんてほとんど見えませんでした。

「ここから景色が見えたら最高なのにな〜」

何気なく慎太郎に言ったんです。

すると、また始まりました。

慎太郎の行動力。

仲間を連れて、チェーンソーを持ってきて、大木を次々と切っていく。

倒れる時の迫力は、今でも忘れません。

自分も人生で初めてダンプカーを運転しました。

途中、ぬかるみにハマって身動きが取れなくなり、泣きそうになりました(笑)。

本当にいろんなことがありました。

でも、少しずつ景色が開けていき、城山から見える海が現れたときは、

「これは最高だな」

と思いました。

今では上五島トレイルを象徴する景色のひとつです。

城山伐採前
城山伐採後

「山を走るだけじゃ、人は来ない」

コースを作りながら、もうひとつ考えていたことがあります。

せっかく上五島まで来てもらうなら、山を走るだけではもったいない。

「上五島には魚がある。最高のおもてなしをしよう」

また慎太郎が言い出しました。

「いや、無理やろ〜」

そう思いました(笑)。

ところが、これもやってしまうんです。

前夜祭では、慎太郎が地元の漁協などへ自ら魚を仕入れに行きました。

普段から付き合いがあるからこそ、漁師さんが目利きした新鮮な魚が集まる。

地元に住んでいる自分たちでも、なかなか食べられないようなネタです。

そして、その魚を使って寿司を握る。

しかも、寿司職人は本職ではありません(笑)。

ネタケースも自前。本人たちは完全に本職の寿司職人になりきっています。

寿司職人たち

川崎さんには、料理の鉄人・鹿賀丈史役を衣装から強制的にやってもらい、ステージから寿司職人が登場するという、とんでもない演出まで。

こんな川崎さんは見れないでしょう。

さらに、島内でも人気の「かもめ亭」さんの料理、島内唯一の焼酎酒造、五島灘の「ザマナボール」。

第1回大会の前夜祭とは思えないほど、どんどん豪華になっていきました。

参加者からも、

「こんな前夜祭は全国でもなかなかない」

と言ってもらえるほど。

自分たちが想像していたものを、はるかに超える前夜祭になりました。

豪華メンバー

前夜祭と後夜祭には、それぞれ目的があった

実は、第1回大会から前夜祭と後夜祭をやっています。

ただ飲んで騒ぐためではありません。

前夜祭は、上五島まで来てくれた参加者への歓迎とおもてなし。

そして後夜祭は、大会に関わってくれた皆さんの慰労会。

それぞれに目的を決めました。

後夜祭は、町で普段からやっているような打ち上げスタイル。

オードブルなどを囲みながら、参加者と島の人たちが一緒に飲んで話す。

準備する側にもなるべく負担をかけない。

それでも、気がつけば参加者と地域の人たちが自然に交流している。

その光景が、僕はすごく良かったなと思っています。

大会のために特別なものを作るのではなく、いつもの島の中に、遠くから来たランナーが入ってくる。

それだけで、島の空気が少し変わる。

上五島トレイルは、最初からそんな大会だったのかもしれません。

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そして、109人がやってきた

大会には、豪華な3名のゲストランナーも来てくれました。

小林誠治さん、横内佑太朗さん、森本幸司さん。

川崎さんがいなければ、絶対に呼べなかった3人です。

当時の自分は、トレイルランニングを始めてまだ数年。

言ってしまえば、トレイルランニングを「かじった程度」の経験しかありません。

ところが大会が終わってから知ったんです。

参加者の中には、トレイルランニング界では名前の知られた方々がたくさんいたことを(笑)。

そして、第1回大会の参加者は109名。

「川崎雄哉を呼べば絶対に人が来る」

なんて言っていた自分ですが、

正直、こんなに来るとは思っていませんでした。

テレビCMまで流しました。

そして、あっという間に大会当日が終わりました。

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「人に喜んでもらう」ことが、こんなに楽しいとは

第1回大会を終えて、一番強く残ったのは、

人に喜んでもらうことって、こんなに楽しいんだ。

という感覚でした。

もちろん、無事に大会を終えた安心感もありました。

でも、それ以上に嬉しかったのは、参加してくれた人たちの笑顔や、島の人たちが楽しそうにしている姿でした。

そして同時に、ひとつ痛感したことがあります。

自分一人では、何もできない。

実行委員の仲間たち。

町役場の皆さん。

コース整備を手伝ってくれた地域の皆さん。

前夜祭や後夜祭に関わってくれた皆さん。

たくさんの人の協力があったからこそ、第1回大会を開催することができました。

だから今、上五島トレイルを続けるうえで、一番大切にしていることがあります。

参加者だけが楽しい大会ではなく、

関わるすべての人が楽しく、幸せになれる大会にすること。

それが、上五島トレイルの一番の目標であり、目的です。

第1回大会は、たった109人の大会だったかもしれません。

でも、自分たちにとっては、上五島という島と、トレイルランニングと、人とのつながりが一つになった、大きな一歩でした。

そして、この大会がここからどうなっていくのか。

まだまだ自分は、まだ何も知りませんでした。

つづく。

上五島トレイル

松岡 晃


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@matsuokahikaru