100kmを目指した30人の挑戦。
2024年9月、福岡市・南公園で第1回「SOUTH PARK 100」を開催した。参加者は約30名。スタート時間は自由、ゴールは翌8日正午というシンプルなルールのもと、それぞれの100kmへ挑んだ。
早い人は17時頃から走り始め、20時から21時頃にはほとんどの参加者がコースへ出ていた。南公園の夜に、ヘッドライトの灯りが少しずつ増えていく。
SOUTH PARK 100は、東京・代々木公園で続く「YOYOGI PARK 100」をルーツに持つ自主トレイベントだ。福岡では大濠公園で開催された「OHORI PARK 100」に続く開催となった。
今回の舞台は南公園。一周約2km、累積標高約65mの周回コースだ。大濠公園のようなフラットな周回路とは異なり、砂利道や細かなアップダウンが続く。100kmを走れば約50周、累積標高は約3,500m。数字以上に脚を使うコースだった。
このイベントの狙いは、完走だけにあるわけではない。補給はうまくいくのか。装備に問題はないか。夜間の眠気や疲労にどう対応するのか。秋のロングレースへ向けた実践的なテストの場として参加しているランナーも少なくなかった。
しかし、この日は想像以上の暑さだった。
夕方になっても気温はなかなか下がらず、10kmも走らないうちに脱水症状に苦しむランナーが続出した。普段から南公園を走り慣れている参加者でさえ、予定していたペースを大きく修正することになった。今回は住宅街への配慮からコースをわずかに短縮したこともあり、距離感がつかみにくく、周回数が思った以上に増えていく。1周ではわずかな差でも、50周近く積み重なると精神的な負担は小さくない。
それでも、周回コースには独特の良さがある。
何度も仲間とすれ違い、そのたびに声を掛け合える。
「ナイス!」「まだいける!」「お疲れさま!」
ほんの数秒のやり取りだ。しかし深夜になるほど、その一言が力になる。励ますつもりが逆に元気をもらう。そんな場面が何度も見られた。
エイドにはレッドブル、コーラ、かき氷と差し入れが集まった。走る人、応援する人、差し入れを届ける人。それぞれが自然と関わりながら、この場を支えていた。
夜になると南公園は昼とは違う表情を見せる。ヘッドライトだけを頼りに砂利道を進み、静かな園内を周回する時間。動物園の横を通るたび、オレンジ色の灯りに照らされたキリンの姿が見えた。疲労のなかでふと現れる非日常。そんな風景も、このコースならではのものだ。
夜が明けても暑さは続いた。用意していたドリンクは次々に消費され、ランナーたちはトイレで顔や頭に水をかけながら体温を下げる。残り20km、残り10km。数字は減っているのに、ゴールはなかなか近づいてこない。
そして8日正午。最終的に100kmへ到達したのは8名だった。
最速は坂本卓也。100.25kmを12時間33分03秒で走破、平均ペース7分31秒/kmだった。一方、時間切れにより100kmへ届かなかったランナーも少なくない。96.18kmで終えた田中丸善太をはじめ、あと一歩のところまで迫った参加者もいた。
しかし、それもまたこのイベントの価値だ。
補給の課題が見つかった人。夜間走への不安が消えた人。秋の本番へ向けて確かな手応えを得た人。持ち帰るものは人それぞれで、順位も表彰もない。ただ、自分自身と向き合う長い時間があるだけだ。
深夜の南公園を走り続けたランナーたち、応援や差し入れを届けてくださった皆さん、ありがとうございました。
100kmという距離の先に何があるのか。その答えを探しに、また南公園へ。
