いよいよサハラへ
2018年4月、いよいよ本番です。
参加者はパリに集合し、チャーター便でモロッコのワルザザートへ向かいます。そこからさらにバスで砂漠のキャンプ地へ移動しました。
到着翌日はメディカルチェックと装備チェックのみ。この日までは食事が提供されますが、翌日からはいよいよ持参した食料だけで生活することになります。

ステージ1〜3 砂漠の洗礼
初日のステージ1は30km。
10kmごとに設置されたチェックポイントで1.5Lの水が支給されます。
序盤は順調でしたが、40〜50℃に達する暑さに体力を奪われ、15km地点では歩き始めてしまいました。
さらに20kmを過ぎる頃には荷物の重さで肩が激痛に。
「あれだけ練習したのに、まだ足りなかったのか」
そんなことを考えながら、なんとかゴールしました。
砂漠は乾燥しているため日本のような不快感はありません。しかし脱水は急速に進むため、水分補給と塩分補給は欠かせません。毎回チェックポイントでは塩タブレットを摂取したか確認されるほどでした。
翌日のステージ2は39km。
砂漠の朝は驚くほど寒く、スタート直後は快適でした。砂丘や山越えに苦しみながらも、走れる場所はすべて走り切ることができました。
ゴール後にテントへ戻ると、まだ誰も戻っていません。
なんと、その日は日本人参加者の中で最初にゴールしていたのです。
順位を狙っていたわけではありませんが、大きな自信になりました。
しかし代償もありました。
足にはいくつものマメができていたのです。
翌日のステージ3では、つま先の痛みがさらに悪化しました。最後の下りは本来なら気持ちよく走れる区間でしたが、痛みで思うように走れません。
ゴール後に靴下を脱ぐと、マメは想像以上にひどい状態になっていました。
そのままメディカルテントへ直行。
長距離ステージレースでは、脚力だけでなく足のトラブルとの付き合い方も重要なのだと痛感しました。
さらにその夜は砂嵐に襲われました。
テントが崩れ、荷物は砂まみれ。それでも今振り返れば、あれもサハラらしい思い出のひとつです。




砂漠で届く応援メッセージ
このレースには忘れられない仕組みがあります。
毎日、友人や家族が送ってくれた応援メッセージが印刷され、夜に参加者へ配られるのです。
スマートフォンも使わない砂漠の生活では、外の世界とのつながりはありません。
だからこそ、そのメッセージが本当に心に響きました。
疲れ切った身体でテントに戻り、仲間たちと一緒にメッセージを読む時間は毎日の楽しみでした。
何気ない一言が大きな力になる。
砂漠を走っているのは自分ひとりでも、決してひとりではないと感じさせてくれる時間でした。
