Run the World
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僕が海外レースに魅了された原点 ― Marathon des Sables 250kmの記憶

86kmのオーバーナイトステージ

4日目はいよいよ最大の山場。
86kmのオーバーナイトステージです。
制限時間は35時間。
序盤から足の痛みに苦しみましたが、「歩いていても終わらない」と思い、少しずつ走り始めました。
すると意外にも走れる。
60km付近までは順調でしたが、その後は失速し、歩いたり走ったりを繰り返しながら前へ進みました。
日が落ちると砂漠は完全な暗闇に包まれます。
そんな中、ふと空を見上げると、人生で見たことのない星空が広がっていました。
苦しさの中で出会った、忘れられない景色です。
ゴールしたのは深夜2時でした。

最終ランナーが教えてくれたこと

翌日、僕たちは続々とゴールする仲間たちを迎えていました。
そして最後に現れたのは、70代のイギリス人ランナーでした。
約1,000人の参加者全員が拍手と歓声で迎えます。
限界まで身体を使い切りながら、それでも前へ進む姿。
スポーツで涙を流したことは今までありませんでしたが、このときは自然と涙があふれました。
順位ではない。
速さでもない。
挑戦し続けることそのものに価値がある。
そんなことを教えられた瞬間でした。

最終ランナーを迎える

ゴール、そしてその先へ

ステージ5は42kmのマラソンステージ。
実質的な最終ステージです。
「悔いを残したくない」
その思いで全力を尽くし、最後まで走り続けました。
ゴール地点では主催者のパトリックが迎えてくれました。
思わず涙を流しながら抱きつき、メダルを受け取った瞬間の感動は今でも忘れられません。

左:パトリック

最終日のチャリティランでは、日本人参加者たちと話をしながら歩きました。
順位を気にせず仲間と過ごす時間も、このレースの魅力だと感じました。
レース終了後はワルザザートのホテルで一泊し、パリへ戻りました。
その夜は日本人参加者たちと打ち上げを楽しみ、翌日からはベルギーのブリュッセル、そしてフランスのモン・サン・ミシェルへ観光に出かけました。
レース前は「身体がボロボロになって、観光なんてできるのだろうか」と思っていましたが、肩や足の痛み以外は意外と元気で、普通に旅を楽しむことができました。
レースだけで終わらず、その土地の文化や景色を楽しめるのも海外レースの魅力です。

このレースが今の僕をつくった

Marathon des Sablesは、僕にとって単なるレースではありません。
限界への挑戦、人とのつながり、そして世界の広さを教えてくれた特別な体験です。
このレースがあったからこそ、その後も世界各地のレースへ挑戦するようになりました。
海外レースには、その土地でしか味わえない景色や文化、そして出会いがあります。
その魅力を最初に教えてくれたのがMarathon des Sablesでした。
今の自分があるのは、このレースのおかげ。そう言っても決して大げさではありません。


安河内泰斗のアバター

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