皆さんこんにちは7trailsのたまきちこと玉田です。
この連載は、走りはじめて1年で100km超のトレイル大会(ASOボルケーノトレイル)を完走するに至った軌跡を振り返り「トレイルランをはじめてみようかな?」と思っている方々の道標?参考?になればという想いでつらつら書いています。(需要はあるのか)
さて第3話は、前回グルラン初参加を果たし自己肯定感が高まっているたまきちが、いよいよトレイルにチャレンジする頃からの振り返りです。
続・まだトレランしてない
前回ようやく7trailsグルランに参加することができた自分は、みんなから「3週間で10km以上走れるのはすごい!」と言われ有頂天になり、翌週も意気揚々とグルランに繰り出すことに。
前週のウェアリング(厚着、トレランシューズ)の反省点を踏まえ、散財の上で臨む。気合いは充分だ。
※グルラン翌日ストライドラボ福岡でアルトラエスカランテレーサー2、Teton Bros.のTシャツを購入。
この日も参加者は豪華だった。安河内さん、吉川さん、ニータさん、なっちゃんとつよつよメンバーと初対面。
そして当然のように飛び交うのは海外ステージレースや100マイル、200マイルの話。
「へぇー。」「おぉー。」「マジっすか。」
一応リアクションはしているものの正直何を言っているのかほとんど理解できていない。
というか飛行機のマイレージ以外でマイルという単位を使う人たちがいるんだって驚きが勝っていた笑
そして愛宕神社までの坂は相変わらずきつかったが、ウェアとシューズを変えただけで随分楽に感じた。
少しだけランナーっぽくなれた気がしたが、肝心のトレイルはまだ一度も走っていない。

しかしだ、いよいよ週末には4月の終わりに申し込んでいた「トレイルラン練習会」が迫っている。
グルラン終盤、復路の百道浜あたりでその話をすると「それ、いくらするん?」と聞かれた。
「たしか5,000円くらいです。」
と答えると
「山に行くのに(レースでも無いのに)お金払うんだ。」
そんな反応だった。
もちろん悪気なんてない。毎週のように山へ入っている人たちからすれば「一緒に行けばいいじゃん(タダじゃん)」という感覚だろう。
言われてみれば確かにそうだ。
正直、自分も少しだけ思っていた。
7trailsに出会ってもなお、お金を払ってまで練習会にいく必要はあるのだろうか。と。
はじめての福岡絶景トレイルラン(油山)
自分が申し込んだ練習会はトレイルランナーズ大阪の安藤コーチが主催の練習会。
(福岡じゃない人にはピンとこないかもしれない)地下鉄七隈線の梅林駅が集合場所。
参加者は20人ほどで、駅構内で点呼の後、近くのコンビニで補給を買い公園で自己紹介・オリエンテーションを済ませる。
最初はウォーミングアップも兼ねて油山西側の林道をゆっくり登るところから始まった。行き交う人が少なくて良いのだそう。
途中からトレイルへ入り、登り方や下り方をひとつひとつ教わる。
目線。重心。歩幅。
そして下りを馬のようにパカパカッ!と接地して膝の負担を軽減する走法や虫対策で黒いウェアリングを避けるべしであったりと、今でも活用している知識・ノウハウを短時間に伝授いただいた。
「なるほど。そういうことか。」
動画では何度か見たことがある内容だったが、実際に山で教わると理解度が全然違う。
教わった内容を意識しながら荒平山へ向かい、山頂でランチタイム。


腹ごしらえを終えると、油山へ縦走し最後は梅林登山口まで一気に下る。
前ももはパンパンになったが、不思議ときつかった記憶よりも、皆で「全集中!(そんなに当時流行ってただろうか?笑)」とかいいながら下った楽しい記憶の方が残っている。


梅林登山口を出たところの広場で集合、皆で感想を一言ずつ共有し、解散。
といいたいところ、解散直前にモーリーさんが同じく梅林登山口から下山。
「あ、どうも!」
と会釈&挨拶をすると、颯爽と広場横の階段を下っていった。
隣にいた練習会参加者から
「お知り合いですか?・・・ていうか、あの方サンダルで下りてきたってことですか?」と。
「そうなんです、変態なんです。」
と思わず答えてしまった。(モーリーさんごめんなさい。)
そんなこんなで解散。

移動時間は2時間くらいだが、経過時間は5時間半。
距離にして12kmちょっと、獲得標高は759m。
走りはじめてから丸1ヶ月、近いようで遠かった”山”との距離をグっと近づけてくれた一日に。
これならまた「山に行ける!」と感じたし、グルランで話していた「5,000円」も終わってみれば「お安いもんだ」そう思えた。
「飯盛練」と「油山練」
翌週のグルラン。油山の練習会の話をすると「じゃあ飯盛練ショート版やろうか。」とイシカワさん。
グルランの後だっただろうか。早速LINEのオープンチャットでアナウンスをしてくれた。
その週の土曜早朝、電動アシスト付自転車「たまきち号」で向かう。
現地には岩男さん、モーリーさん、そして初対面の中川さんが来てくれた。
「中川です。」
「あ、この方が長老か。」イシカワさんが時々そう呼んでいた人と、ようやく顔が一致した。
叶嶽登山口で写真を撮り、念願の飯盛練スタート!

鳥居をくぐると、いきなり登りが始まる。それもなかなかの傾斜で長い。
ショート版は 叶嶽→高地山→飯盛山→高祖山→鐘撞山というコースで、飯盛神社へ下りての登り返しと高祖神社へ下りての登り返しはカット。
今であればこのショート版はだいぶ楽に感じるものの、当時初心者の自分には十分すぎた。
普段よりもゆっくりペースだというみんなはガシガシ登っていく。ついていくのがやっと。というかついていけずに遅れを取りまくり、各山頂や休憩ポイントでもゼエゼエ言いながら周る。


「まだ山2回目なんですけど~」と弱音を吐きつつも、なんとかショート版ゴール。走り終わり、着替えたり補給をするパイセン方を横目にたまきち号にまたがると、
「ここからまたチャリで帰るん?がんばるねー笑」
と奇特(変)な奴を見る眼差しを浴びながら帰路につく。
電動アシスト付自転車だというのに出発直後から盛大に内ももを攣りながらヒィヒィ言って帰る。
ショートとはいえ飯盛練を体験できたこと、グルラン以外で7trailsの皆に遊んでもらえたことで、ようやく仲間入りできたのかな?と思えた自分がいた。
「よっしゃ、トレイルやったるぜ!」
なにせ1か月後には初レース「南阿蘇カルデラトレイル」が待っている。

翌週、初のソロ油山(時間の関係で妙見望までのピストン)にチャレンジ。さらに翌週は油山山頂までのピストンに成功。続いて大会前週は練習会と同じルートを一人でなぞってみた。練習会で走った林道やロード区間は、本番に近い練習になる気がしたからだ。



気付けば、練習会からレース当日まで毎週山へ入っていた。油山ならもう怖くない。一人でも迷わず走れるし、何より家から近くていい。
「山」に入ることには慣れてきた。あとは週末、初の大会を完走するだけだ。
灼熱、そして白熱
いよいよ迎えた南阿蘇カルデラトレイル当日。
今回は、家族旅行も兼ねて早朝から阿蘇へ向かった。
距離の長い順にスタートするスケジュールで、会場へ着く頃ロング50kmやミドル32kmの選手たちはすでに走り出していた。
MCの声が響き、いくつかブースが並び、会場全体がお祭りのような空気に包まれている。
「トレイルレースって、こんな感じなんだー。フェスやん。」
少し圧倒されたが、おのずとテンションは上がった。
ゴール付近の草原から少し離れた木陰に小さなテントを張り、妻子は待機。
初レース、家族がいるとはいえ心細さは拭えない。
同じくショートの部に出る当時唯一の知り合い飯尾さんにコンタクト。居場所を聞き合流。
「何時間くらいで走る予定?」
そう聞かれ、
「いやー、全くタイムとかは考えてなかったっすねー。初レースなんで、完走できれば十分かなーと。」
と答えた。
すると飯尾さんはニヤリと笑って、
「え~、3時間くらいはイケると思うよ~?」
と言う。
いやいやいやいや。山へ入ったのはまだ5回くらいだし、そもそも去年のリザルトすら見ていないからタイムの感覚なんて何もない。
「飯尾さんはどれくらいなんすか?」
と逆質問すると
「ん~、2時間切れるかどうかくらいかなー。」
(・・・やべぇ、この人も変態なんだった笑)
「マジすか!?えー、じゃあ自分は一旦4時間以内を目指してみますわ。」
図らずも目標タイムが設定されてしまった。
でもまあ、せっかくのレースだし、いずれタイムとかを意識するようになるんだろうし。
と頭の片隅に置いた。

スタート時刻が近づいてきた。ぞろぞろとスタート地点に集まる走者たち。
「あっ、俺そろそろ前の方行くわ。」
と飯尾さん。
スタートゲート前方へ消えていく。かっこよすぎる。
完走目標・・・じゃなかった4時間切りを目指す自分は真ん中というか後方というか、くらいの位置で号砲を待つ。
ショートは人数も多く、女子&ペア→男子と分けての出走。つまり、このスタートには男子しかいない。
女性MCの方のノリノリのマイクパフォーマンスでも
「男くさい熱気がすごいですね~」みたいなことを言われ
「うっさぃわぁ~!笑」と少しリラックス。

「テン!ナイン!エイッ!セーブン!~~~スリー!トゥー!ワン!」
「スタートォー!プォプォプォー!!!(エアホーンの音)」
うおー始まっちまった。
スタートすると、待ち受けるは灼熱のロードだった。(一部舗装路以外もあり)
遮るものはほとんどない。照りつける太陽。

延々と続く登り。
「18kmのトレイルレースなのに、こんなにロードなの?」
そんなことを思いながら、必死に周りの集団へ食らいつく。

ようやく地蔵峠手前で少しだけトレイルへ入ると、程なくしてカランカランとカウベルの音が聞こえる。
エイドだ。ここまで約6〜7km。
「ほぼロードやったやん。」
心の中でそうツッコミながら補給を済ませ、ここからが本番といわんばかりのガチトレイルへ入っていく。
大矢岳までの登りは、飯盛山、油山の登りと傾斜やサーフェスはそこまでかわらない気がした。
距離もそこまで長くはない。2kmくらいだろうか。
ここまででだいぶ削られた後なので、きついはきつい。
ふくらはぎも前ももも総動員。ただ前へ進むだけだった。
大矢岳へ着くと、少し雲は多めだったが絶景が広がってた。
これが阿蘇の稜線かー。と雄大な景色を堪能する。


さあ、ここから駒返峠までは気持ちがいいトレイル区間と聞いていた。
たしかに走りやすい。完全なフラットというわけではないが、アップダウンも気持ちがよい。
ショート女子やペアの方々を拾いながら進む。
今思えば、完全なオーバーペースだったのだけど、当時の自分はペース配分なんて分からない。
快調に飛ばす自分に酔い、「なかなかのトレイルランナーなのでは」などと本気で思い始めていた笑
そしてふと時計に目をやると、13km、2時間10分経過
おや?これはもしや・・・。
飯尾パイセンの
「え~、3時間くらいはイケると思うよ~?」
という言葉が蘇る。
あと50分で5km。つまりキロ10分でも間に合う計算だ。
「・・・。よし。」
スタート前は完走できりゃいいと思っていた男が、たった2時間ちょっとでタイムを狙いはじめた瞬間。
いよいよ本コース一番の難所(と勝手に思っている)駒返峠に到着だ。
約1.5kmで350mダウンの激下りは噂どおりのガレ場が多かった。
沢の水分を含んでいるのか、泥濘ゾーンもあり滑るわコケるわで心が折れかかる。
周りのランナーと
「ここヤバいですね。」
そんな会話をしながら進んでいた。
この頃には完全に脚も終わっていて、脚全体を使ったショック吸収ができない。
ドンっ!と着地するもんだからそれはそれで膝や大腿四頭筋に来る。
急ぎたい。でも急げない。
3時間が頭をよぎる中、ようやくガレ場を抜け下りのロードに出た。
時計は16km、2時間40分台、残り15~20分。あと2km・・・なんとか間に合うか。
そう思って走り始めるが、最後の下りも灼熱だ。
眼前には阿蘇外輪山と思われる雄大な景色も、それどころではない。暑い・・・。
そしてどれだけ下ってもゴールは現れない。
遠くからかすかに太鼓の音も聞こえたが、だいぶ離れているような気がする。
本当に18kmで終わるのか?嫌な予感がした。
長いロードが終わり誘導の方に従って右に入ると、見覚えのある草原だ。
「あ、ゴールだ。」
一瞬そう思ったが、違った。
「フェイクかぁーい!!!」
心で叫んだ。
フェイク草原を抜けると、また一瞬舗装路区間に入る。
おまけにフラット~ちょい傾斜くらいの箇所もあり、照りつける太陽と照り返しの熱、フェイク草原のショックで、もう少しだというのに一瞬だけ(1~2分だったか)歩いてしまった。
いかんいかん!
時計を見る。18kmはもう過ぎている。
「距離もフェイクなのかぃ!!」
がまだ3時間は過ぎていない。最後の力をふりしぼり再度走り出す。
※当時の自分は、これがトレイルあるあるだなんて知らなかった
今度は正真正銘ラストの草原だ。
ちょっと前から脚が攣りそうだ。いま止まったら攣る。このまま駆け下りるしか無い。
コース脇には妻子。止まると攣るので勢いそのままに駆け寄り娘とハイタッチ。
そのままゴールゲートになだれ込んだ。
ゴール!!
勢い余ってゴール前に倒れ込むが、寝転んだままでは後続の邪魔になるので、ヨロヨロになりながら家族の方へ退避。
「あーつかれた!!!」
原っぱに仰向けになり、青空を見上げる。このなんともいえない脱力感が心地よい。
「あ、そういえば」
時計を止め忘れていた。今見ると3時間3分くらい。
果たして、3時間切れてたんかな。リザルトっていつ見れるんだろうか。
まあいいか、完走したし。
ゴール後、テントに向かい汗が引くのを待ち着替える。
そういや飯尾さんはどうだったんだろう。
連絡をとり合流。結果を尋ねると
「2時間ちょっとで今のところ5位かなー」
やべぇ、さすが過ぎる笑
そして速報が見れるとのことで
「へぇ~そうなんだ!」と自分のタイムも見てもらうと
タイムは──
3時間00分22秒
「おーいっ!!22秒て!笑」
なんとも自分らしいというか、あと22秒。
フェイク草原の後、あそこで歩かなければ。
そんな悔しさはもちろんあったけど、当日の朝までは「完走できりゃいい」と思っていた自分が思いがけず火がついて3時間で走れたんだから、まあ上出来だろう。

レース後は阿蘇ファームランドへ宿泊。
建物は少し年季を感じるけど、温泉にサウナに疲れた身体を癒すことができたし、夕食・朝食バイキングは種類も豊富でどれも本当に旨かった!
翌日は娘を連れて隣接する「元気の森」へ。
でっかい敷地に設置された60種類ものアスレチックを一緒に回るのだが、レースの疲れが残っている身体には堪えた。




18km走った翌日にもう一度脚を使い切るとは思わなかったが、サラリーマンランナーは家族サービスもセットでないと自由に走らせては貰えない。
これでいいのだ。こうして初トレラン旅は終わった。
ちょっぴり悔しさは残ったけど、走り始めて2ヶ月、少しずつ走力も付いてきて、そろそろトレイルランナーと名乗ってもいいのでは?
と自信もついたたまきちなのであった。
続く。
次回は、18kmのトレラン大会を完走し、すっかりトレイルランナーの仲間入りをしたと思っているたまきちの「無謀な挑戦」にフィーチャーして回想してみようと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
