凡走脱出記
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本物に囲まれて、僕はダラダラ走った

9連休が降ってきた。

妻はカレンダー通りの仕事。娘は大学受験真っ只中。家族旅行の空気ではない。目の前には、予定が真っ白な9日間が広がっていた。

そんな時、僕がかつて神戸に住んでいた頃に所属していた「Shioya Mountain Club(通称SMCLUB)」の初期メンバー・黒田さんが、トランスジャパンアルプスレース(TJAR)に参戦した。

SMCLUBは、六甲の塩屋を拠点にするトレランコミュニティだ。メガネマークがトレードマークのこのクラブ、最初は僕らおじさん3人で「夜にワンダカレーでカレーを食べて、ゆるゆる走ろう」と始めたものだった。それが今や、毎週日曜の朝練に30人以上が集まるほどの賑わいを見せている。

その初期メンバーである黒田さんが、大きな怪我で走れない時期を乗り越え、コツコツ積み上げてきた末の挑戦。頻繁にIBUKIを更新して確認しながら、関門時間 にハラハラしたが、最後は余裕を持って完走した姿に、画面越しで本当に感動した。

僕もコツコツやろう。そう誓って、ポッドキャストで友納さんから授かった課題——「連休中に100マイル(約160km)」に挑むことにした。

とはいえ、最高気温35度超えの猛暑日。日中は1時間が限界だ。編み出したのが、こんなルーティンだった。

朝、涼しい時間に10kmジョグ。当初はインターバルをやったりしたが、暑いためか設定を全くクリア出来ず、ジャンクジョグに切り替え。昼、子どもに飯を食わせ、家事をこなし、子どもが勉強する横で自分は昼寝。資格試験の勉強をするつもりが、あえなく計画倒れ。夜、また外に出て10kmジョグ。

1日20km。走っては食べ、寝ては走る。

黒田さんの「コツコツ」と、僕の「コツコツ」は、たぶん別の言葉だ。でも、同じ言葉を使い続けていれば、いつか追いつける気もしている。

7日17時間36分で見事に完走!

「ゆるゆる」に騙された米の山地獄

単調な毎日にスパイスが欲しくなって、連休中に一度だけ「米の山練」に参加してみた。

須山くんの友人で、最近SMCLUBに入った鳥越くんが来るというので、誘われるまま初参加。7kmで標高差500mを駆け上がる激坂峠コースだ。

メンバーは口々に「今日はゆるゆる行きましょう〜」と爽やかに言う。だが、彼らの「ゆるゆる」は、僕にとっての「heehaa!!限界の全力疾走」と同義だった。

途中、何度も心が折れて歩きかけたが、近くを走ってくれたたいちゃんのおかげ(せい?)で、なんとか足を止めずに山頂へ。本当の地獄はそこからだった。下りは林道を10km近くぐるぐる回り、最後の6kmは容赦ないロードの激下り。下りきる頃には、膝が完全にガクガクだった。

ボコボコにされて帰宅した。凡才の「ゆるゆる」は、いつだって命懸けだ。

米の山頂上

トップ選手と過ごした「17サミット未遂」

結果、9連休で走った距離は約180km。目標の100マイルは、なんとか達成できた。

だが、おじさんの夏はまだ終わらない。

連休明けの8月22〜23日、SMCLUB創設メンバーであり主宰の来住さんが福岡へ来た。一時的に福岡に滞在していた日本トップ選手、竹村直太くんも誘って、男3人で九重へ。

トップ選手の直太くんは、軽やかに山を駆け抜けていく。僕と来住さんのおじさん2人(どちらかというと今回は来住さんが)は、足を引っ張りまくり。当初は「くじゅう17サミット」を巡る予定だったが、僕らはあっさり諦め、法華院でアイスを食べ、ランチをしながらまったり過ごす「17サミット未遂」で終了した。

一方の直太くんは、4kg以上の重りを背負いながら、軽々とクリアしていた。

なんとも情けないおじさんたちだが、実に良い時間だった。

久住山 山頂
法華院で食べたガパオライス

TJARを完走した黒田さん。僕の全力疾走が、ゆるゆるな米の山のメンバー。4kg背負って涼しい顔の直太くん。

この夏、本物に囲まれ続けた9日間+αだった。そして僕はといえば、ジョグして、ボコボコにされて、アイスを食べた。

凡才らしいと言えば、凡才らしい。それでも、本物の隣を走らせてもらえるだけで、十分すぎるくらい贅沢な夏だった。

悲報:防府落選と、封印できなかったアイス

最後に、追撃の悲報が届いた。楽しみにしていた防府読売マラソンの抽選に落選。年内に走るマラソン大会の予定は、一瞬にして全滅した。

正直に言う。防府に受かっていたら、ここから本気を出すつもりだった。甘いものも、アイスも、封印するつもりだった。

落ちたので、今日もアイスを食べている。

密かに掲げていた「年内脱凡走計画」は、あえなく来年へ持ち越しとなった。

劇的な大冒険はなかった。ただ、ジャンクジョグして、叩かれて、ゆっくり歩いた夏だった。

来年のリベンジに向けて、またコツコツ走り出そうと思う。——たぶん、アイスを食べながら。

牧ノ戸峠のブルーベリー ソウフトクリーム


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