100マイル甘くねぇ
だがすぐに次の問題が出てきた。やっぱ簡単な100マイルなんてない。ついに左足の甲に違和感、いや痛みが出始めたのだ。足底に張りが出始めてはいたのだが、土踏まずの上の方から第一趾(親指ね)の中足骨あたりが痛え、、、この時間帯が一番感情が揺れたポイントだった。痛みが再発したら止めると決めていたから「くっそ、やめなきゃいけないんじゃねーか?」、「いやいややめたくねーな」という葛藤を繰り返した。ただ僕が危惧していた痛みは第四趾、第五趾側の痛みだった。そちら側だったら泣く泣くやめていただろう。先生からも親指側だったらまだ大丈夫ですと言われていたので、痛みを感じながらも走り続け6周目を終えた。ラップは4:31。ペースは落ちてきていたが、完走への想いは上がってきていた。
さすがに足底が痛くなってきた。やはりシューズを変えよう。もう一度トラブーコに履き替えてみる。おお、かなり良いフィーリング!足底の痛みもマイルドだ!行くぞ7周目!ここからは完全に完走モードに入った。とはいえ、残りはまだ40kmある。甘くはない、7周目を終えなければ8周目に行けねえからな!と自分に言い聞かせ慎重に歩を進めた。守りのメンタルに入ったからか、7周目の登りは脚が上がらずかなり苦戦した。ロードに出ても無理せず歩きを入れたりした。ゆっくりでいい、ここまできたら絶対完走するんや、やめる理由、やめた方がいい理由、やめるべき理由、色々あると思うが、どんな理由を重ねてやめたところで「やめた」って結果しか残らない。結局、やめたか、やめなかったか、だけだ。
「やめたくねぇ、やり切るんや、持ってくれよ俺の足!」
ウルトラランニングの素晴らしいところは、自分を知れるところだろう。強さも弱さも、自分がどうしたいのか、どうありたいのか、それがよく分かる。僕は執着の無い人間だと思っているけれど、こういう瞬間、ものすごい執着を見せる自分もいる。いつ死んでも構わない、後悔はない。なんて言っていても、その段になったら「死にたくねぇ〜!」って言うタイプですね、僕は。
7周目の終わりに奥さんに追いつかれた。周回遅れ!速いわ~!なんて言葉を交わした。終わりが見えて元気もりもりの奥さんを見て、僕も元気が出てきた。ちなみにトップでゴールした阿部さんには5周目のクマン岳で周回遅れにされた(爽やかに!)速すぎるだろ、、、ずっと気になっていた阿部さんは実際に会っても僕の好きなタイプの人だった(いや誰でも好きだろうな)阿部さんに会えたことは今回のレースで嬉しかったことの一つだ。こういう出会いがランニングの素晴らしさである。7周目のラップは4:43。わーやっぱ遅えぇ。
ついに8周目へ!
とはいえ、これで8周目に行ける権利を得た。エイドも早めに済ませ、8周目に入った!この辺りは岡山から参加していた木山君(親しみを込めて君呼びさせてください)とパックになっていた。若くてイケメンである。二人でキツいね〜なんて言いながらクマン岳までの急登を登り切ると、彼はペットボトルの水で掛け水をしていた。いや決して羨ましそうな顔をしたわけではないのだが、「掛け水します?」とペットボトルを差し出してくるではないか!いやいや、もう150kmくらい走ってきて、今、この山の頂で他人に水を差し出せますか?しかも爽やかな笑顔を添えて!優しさこそ強さ、しかも若くてイケメン!掛け水ありがとう!!
そんなこんなで最後の下りもクリアし、8回目の古鷹山登山口エイドに到着した。そこにまたのぶ子さんがいた(笑)のぶ子さんとはずっと同じくらいのペースで走っていたようで、よくエイドで会っていた。けれど彼女はロードの走りが安定していて淡々と止まらずに走るもんだからあっという間に置いていかれていた。今回のクマンで一番多く見つめた背中だったと思う。本当に強かった(しかも10日前にウェイティングリストから繰り上がったらしい、、、)その後、ものすごい勢いでタケトニーがやって来た。彼女はその勢いのまま女性トップでフィニッシュした。強いね。最後は古鷹山登山口エイドの皆さんと一緒に記念撮影。

さあ残りはロード12kmだ。もうこの期に及んでタイムなんて気にしていなかったんだが、木山君が、普通に走れば32時間台でいけますね、と一言。そうなのか、悪くないね、じゃあ走ろうか!って走り出したら皆んなめっちゃ速いやんロード。あっという間に置いて行かれた。あ、ここまでまったく触れてなかったけど、ロードの途中にウォーターステーションがあるんですよ、通称「流刑地」。サイクリストの休憩ポイントらしいのだが、周りに何にもない場所なんすよね。よくもまああんなところにWS設置してくれたなと。走ってる側からするとロードの途中のオアシス、メンタル的に良い区切りになるんですよね。ただスタッフからするとまさに流刑地、、、、ここで活躍していたのが助さんともうひと方(名前が分からずすみません)。殺伐としがちなロード区間に癒しを与えていた助さんにも大きな感謝を!かなり気が紛れました。ありがとうございました!
